社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第3問>

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健康保険法に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組み合わせは、後掲AからEまでのうちどれか。
A(アとイ)
B(アとウ)
C(イとエ)
D(ウとオ)
E(エとオ)

健康保険法 令和6年第3問 ア

健康保険組合が解散したとき、全国健康保険協会(以下「協会」という。)が健康保険組合の権利義務を承継する。健康保険組合が解散したときに未払い傷病手当金及びその他、付加給付等があれば、健康保険組合解散後においても支給される。しかし、解散後に引き続き発生した事由による傷病手当金の分については、組合員として受け取ることができる傷病手当金の請求権とは認められないので、協会に移管の場合は、これを協会への請求分として支給し、付加給付は認められない。

解答の根拠

法第26条第4項

根拠条文を確認します。

(解散)
第二十六条
4 協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する。

健康保険法

本肢は、「協会の解散」に関する問題です。

上記根拠条文のとおり、「協会は、解散により消滅した健康保険組合の権利義務を承継する」と規定されています。

そのため、原則としては、健康保険組合の解散時に未払いの傷病手当金や付加給付等があれば、解散後に支給されることとなります。

ただし、解散後に発生した事由に基づく傷病手当金については、既に協会に移管後の話になるため付加給付は認められません。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第3問 イ

全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者(被保険者であった者を含む。)で、家族出産育児一時金の支給を受けることが見込まれる場合、妊娠4か月以上の被扶養者を有する者が医療機関に一時的な支払いが必要になったときは、全国健康保険協会の出産費貸付制度を利用して出産費貸付金を受けることができる。

解答の根拠

法第150条第5項

根拠条文を確認します。

(保健事業及び福祉事業)
第百五十条
5 保険者は、被保険者等の療養のために必要な費用に係る資金若しくは用具の貸付けその他の被保険者等の療養若しくは療養環境の向上又は被保険者等の出産のために必要な費用に係る資金の貸付けその他の被保険者等の福祉の増進のために必要な事業を行うことができる。

健康保険法

本肢は、「保健事業及び福祉事業」に関する問題です。

上記根拠条文の「必要な事業」の一環として、出産費用の貸付制度があります。

対象は、
・被保険者または被扶養者
・出産育児一時金の支給が見込まれ、出産予定日まで1ヵ月以内の方、または妊娠4ヵ月以上で医療機関等に一時的な支払いが必要な者

です。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第3問 ウ

適用事業所の事業主は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、健康保険法施行規則第22条の規定により申請する場合を除き、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項(事業主の氏名又は名称及び住所、事業所の名称及び所在地、適用事業所に該当しなくなった年月日及びその理由)を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。

解答の根拠

則第20条第1項

根拠条文を確認します。

(適用事業所に該当しなくなった場合の届出)
第二十条 適用事業所の事業主は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、第二十二条の規定により申請する場合を除き、当該事実があった日から五日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。この場合において、協会が管掌する健康保険の被保険者の事業主が同時に厚生年金保険の被保険者の適用事業所であるときは、当該届書にその旨を付記しなければならない。
一 事業主の氏名又は名称及び住所
二 事業所の名称及び所在地
三 適用事業所に該当しなくなった年月日及びその理由

健康保険法施行規則

本肢は、「適用事業所に該当しなくなった場合の届出」に関する問題です。

廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、適用事業所の事業主は、当該事実があった日から5日以内に、次の事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければなりません。
1. 事業主の氏名又は名称及び住所
2. 事業所の名称及び所在地
3. 適用事業所に該当しなくなった年月日及びその理由

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第3問 エ

特例退職被保険者の標準報酬月額については、健康保険法第41条から同法第44条までの規定にかかわらず、当該特定健康保険組合が管掌する前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における特例退職被保険者を含む全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額の範囲内においてその規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額となる。

解答の根拠

法附則第3条第4項

根拠条文を確認します。

(特定健康保険組合)
第三条
4 特例退職被保険者の標準報酬月額については、第四十一条から第四十四条までの規定にかかわらず、当該特定健康保険組合が管掌する前年(一月から三月までの標準報酬月額については、前々年)の九月三十日における特例退職被保険者以外の全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額の範囲内においてその規約で定めた額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額とする。

健康保険法附則

本肢は、「特定健康保険組合」に関する問題です。

単純な相違問題です。
・問題文…特例退職被保険者を含む全被保険者
・正しくは…特例退職被保険者以外の全被保険者

本肢は×です。

健康保険法 令和6年第3問 オ

全国健康保険協会(以下「協会」という。)は、2年ごとに、翌事業年度以降の5年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、厚生労働大臣に届け出るものとする。

解答の根拠

法第160条第5項

根拠条文を確認します。

(保険料率)
第百六十条
5 協会は、二年ごとに、翌事業年度以降の五年間についての協会が管掌する健康保険の被保険者数及び総報酬額の見通し並びに保険給付に要する費用の額、保険料の額(各事業年度において財政の均衡を保つことができる保険料率の水準を含む。)その他の健康保険事業の収支の見通しを作成し、公表するものとする。

健康保険法

本肢は、「保険料率」に関する問題です。

単純な相違問題です。
・問題文…厚生労働大臣に届け出る
・正しくは…公表する

本肢は×です。

以上から、誤りとなる肢はエとオとなり、E(エとオ)が正解となります。

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