社会保険労務士試験【健康保険法】<令和6年第2問>

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健康保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

健康保険法 令和6年第2問 A

被保険者の総数が常時100人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がなされた場合、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2か月を超える雇用の見込みがあること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。

解答の根拠

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

根拠通達を確認します。

第1 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準等の概要
2 短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準
施行日以後、4分の3基準を満たさない者で、次の(1)から(4)までの4つの要件(以下「4要件」という。)を満たすものは、健康保険・厚生年金保険の被保険者として取り扱うこととする。
(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
(2) 報酬(最低賃金法で賃金に算入しないものに相当するものを除く。)の月額が8万8千円以上であること
(3) 学生でないこと
(4) 以下のいずれかの適用事業所に使用されていること

ア 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成24年法律第62号。以下「年金機能強化法」という。)附則第17条第12項及び第46条第12項に規定する特定適用事業所(以下「特定適用事業所」という。)
イ 特定適用事業所以外の適用事業所(国又は地方公共団体の適用事業所を除く。)のうち、労使合意により、事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った事業所(以下「任意特定適用事業所」という。)
ウ 国又は地方公共団体の適用事業所

「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の更なる適用拡大に係る事務の取扱いについて」の一部改正について(令和4年3月18日保保発0318第1号)

本肢は、「短時間労働者の健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得基準」に関する問題です。

問題文に挙げられている短時間労働者の被保険者資格の取得基準を整理すると…
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金が8.8万円以上
③学生でない
④健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主の合意)がある(任意特定適用事業所)

となり、上記根拠通達に掲げている4つの基準を満たしています。

したがって、本肢のケースは被保険者となります。

なお、令和7年の法改正で、問題文にある「常時100人以下の企業」の基準は、「常時50人以下の企業」となっていますので、あわせて確認しておきましょう。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第2問 B

保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。厚生労働大臣は、この指導をする場合において、常に厚生労働大臣が指定する診療又は調剤に関する学識経験者を立ち会わせなければならない。

解答の根拠

法第73条

根拠条文を確認します。

(厚生労働大臣の指導)
第七十三条 保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。

健康保険法

本肢は、「厚生労働大臣の指導」に関する問題です。

単純な相違問題です。

厚生労働大臣が保険医療機関・保険薬局に対する指導をする際、診療又は調剤に関する学識経験者を…
・問題文…常に~立ち会わせなければならない
・正しくは…必要があると認めるときは~立ち会わせるものとする

本肢は×となり、本問の正解となります。

健康保険法 令和6年第2問 C

国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担することになっており、健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。また、その国庫負担金は概算払いをすることができる。

解答の根拠

法第151条 / 法第152条

根拠条文を確認します。

(国庫負担)
第百五十一条 国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び第百七十三条の規定による拠出金、介護納付金並びに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の規定による流行初期医療確保拠出金(第百五十三条及び第百五十四条第一項において「流行初期医療確保拠出金」という。)の納付に関する事務を含む。)の執行に要する費用を負担する。

第百五十二条 健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。
2 前項の国庫負担金については、概算払をすることができる。

健康保険法

本肢は、「国庫負担」に関する問題です。

まず、上記根拠条文(第151条)の通り、「国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担する」とされています。

さらに、上記根拠条文(第152条)の通り、
・健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。
・その国庫負担金は概算払いをすることができる。

とされています。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第2問 D

全国健康保険協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、厚生労働大臣が選任する会計監査人である公認会計士又は監査法人から監査を受けなければならない。

解答の根拠

法第7条の29第1項~第3項

根拠条文を確認します。

(会計監査人の監査)
第七条の二十九 協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。
2 会計監査人は、厚生労働大臣が選任する。
3 会計監査人は、公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。

健康保険法

本肢は、「会計監査人の監査」に関する問題です。

上記根拠条文の通り、「協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る。)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない」とされています。

そして、続く第2項・第3項にあるとおり、「会計監査人は厚生労働大臣が選任/公認会計士又は監査法人でなければならない」とされています。

本肢は○です。

健康保険法 令和6年第2問 E

厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。)に充てるため、健康保険法第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合から拠出金を徴収する。

解答の根拠

法第173条第1項

根拠条文を確認します。

(日雇拠出金の徴収及び納付義務)
第百七十三条 厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金等の納付に要する費用を含む。第百七十五条において同じ。)に充てるため、第百五十五条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合(以下「日雇関係組合」という。)から拠出金を徴収する。

健康保険法

本肢は、「日雇拠出金の徴収及び納付義務」に関する問題です。

本肢は上記根拠条文そのままの内容となっています。

本肢は○です。

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