労働基準法に定める就業規則等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
労働基準法 令和6年第7問 A
労働基準法第89条第1号から第3号までの絶対的必要記載事項の一部が記載されていない就業規則は他の要件を具備していても無効とされている。
昭和25年2月20日基収276号
根拠通達を確認します。
<必要記載事項の一部を欠く就業規則の効力>
問 労働基準法第八十九条第一項から第三号までの絶対的必要記載事項の一部又は同項第三号の二以下の相対的必要記載事項中、当然当該事業場が適用を受けるべき事項を記載しない就業規則の効力如何。
答 設問のような就業規則も、その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。ただし、設問のような就業規則を作成し届出ても使用者の法第八十九条第一項違反の責は免れない。
昭和25年2月20日基収276号
本肢は、「就業規則」に関する問題です。
上記根拠通達のとおり、問題文のような就業規則に「絶対的必要記載事項の一部が記載されていない」場合であっても、「その効力発生についての他の要件を具備する限り有効である。ただし、設問のような就業規則を作成し届出ても使用者の法89条違反の責は免れない」とされています。
本肢は×となり、本問の正解となります。
労働基準法 令和6年第7問 B
事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、「起床、就寝、外出及び外泊に関する事項」、「行事に関する事項」、「食事に関する事項」、「安全及び衛生に関する事項」及び「建設物及び設備の管理に関する事項」について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないが、これらはいわゆる必要的記載事項であるから、そのいずれか一つを欠いても届出は受理されない。
法第95条第1項
根拠条文を確認します。
(寄宿舎生活の秩序)
第九十五条 事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、左の事項について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。これを変更した場合においても同様である。
一 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
二 行事に関する事項
三 食事に関する事項
四 安全及び衛生に関する事項
五 建設物及び設備の管理に関する事項労働基準法
本肢は、「寄宿舎規則」に関する問題です。
寄宿舎規則の記載事項は、上記根拠条文の5つが規定されています。
これらの事項は、いわゆる必要的記載事項とされています。
そのため、項目が不足している場合、届出は受理されません。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第7問 C
同一事業場において、労働基準法第3条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが同法第89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条の就業規則となるものではないとされている。
昭和63年3月14日基発150号
根拠条文を確認します。
<一部の労働者に適用される別個の就業規則>
同一事業場において、法第三条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、この場合は、就業規則の本則において当該別個の就業規則の適用の対象となる労働者に係る適用除外規定及び委任規定を設けることが必要である。
なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該二以上の就業規則を合したものが法第八十九条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条に規定する就業規則となるものではない。昭和63年3月14日基発150号
本肢は、「就業規則」に関する問題です。
上記根拠通達にあるとおり、
・同一事業場において、法第3条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない
・別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが法第89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条に規定する就業規則となるものではない
とされています。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第7問 D
育児介護休業法による育児休業も、労働基準法第89条第1号の休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があるとされている。
育児休業制度の労働基準法上の取扱いについて(平成3年12月20日基発712号)
根拠通達を確認します。
7 就業規則
(1) 休暇
法第八九条第一項第一号において就業規則の記載事項として「休暇」があげられており、この「休暇」の中には、従来から、育児休暇も含まれるものと解してきたところであること。育児休業法による育児休業も、この育児休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があること。育児休業制度の労働基準法上の取扱いについて(平成3年12月20日基発712号)
本肢は、「就業規則」に関する問題です。
上記根拠通達にあるとおり、「育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があること。」とされています。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第7問 E
労働基準法第41条第3号の「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」は、同法の労働時間に関する規定が適用されないが、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならないとされている。
昭和23年12月25日基収4281号
(根拠通達は、原文が見当たりませんでした)
本肢は「就業規則」に関する問題です。
設問の監視・断続的労働に従事する者について、根拠通達では「法第41条第3号の許可を受けた者についても法第89条は適用されるのであるから、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならない」とされています。
本肢は○です。