労働基準法に定める年次有給休暇に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
労働基準法 令和6年第6問 A
月曜日から金曜日まで1日の所定労働時間が4時間の週5日労働で、1週間の所定労働時間が20時間である労働者が、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合に労働基準法第39条の規定により当該労働者に付与される年次有給休暇は、5労働日である。
法第39条第3項 / 則第24条の3
根拠条文を確認します。
(年次有給休暇)
第三十九条
③次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者労働基準法
第二十四条の三 法第三十九条第三項の厚生労働省令で定める時間は、三十時間とする。
②法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数は、五・二日とする。
③法第三十九条第三項の通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数は、同項第一号に掲げる労働者にあつては次の表の上欄の週所定労働日数の区分に応じ、同項第二号に掲げる労働者にあつては同表の中欄の一年間の所定労働日数の区分に応じて、それぞれ同表の下欄に雇入れの日から起算した継続勤務期間の区分ごとに定める日数とする。(表略)
④法第三十九条第三項第一号の厚生労働省令で定める日数は、四日とする。
⑤法第三十九条第三項第二号の厚生労働省令で定める日数は、二百十六日とする。労働基準法施行規則
本肢は、「年次有給休暇」に関する問題です。
年次有給休暇の比例付与の対象となるのは
・週所定労働時間が30時間未満
かつ
・週所定労働日数が4日以下(又は年間所定労働日数が216日以下)
である場合です。
問題文のケースは、週所定労働時間が30時間未満ではありますが、週5日労働のため、比例付与となりませんので、通常の年次有給休暇日数を付与する必要があります。
本肢は×です。
労働基準法 令和6年第6問 B
月曜日から木曜日まで1日の所定労働時間が8時間の週4日労働で、1週間の所定労働時間が32時間である労働者が、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合に労働基準法第39条の規定により当該労働者に付与される年次有給休暇は、次の計算式により7労働日である。
〔計算式〕10日×4日/5.2日≒7.69日 端数を切り捨てて7日
法第39条第3項 / 則第24条の3
根拠条文は肢Aと同じです。
本肢は、「年次有給休暇」に関する問題です。
本肢のケースも、肢Aで説明した「比例付与」の条件に当てはまらない(週所定労働時間30時間以上)ため、通常の年次有給休暇日数を付与する必要があります。
本肢は×です。
労働基準法 令和6年第6問 C
令和6年4月1日入社と同時に10労働日の年次有給休暇を労働者に付与した使用者は、このうち5日については、令和7年9月30日までに時季を定めることにより与えなければならない。
則第24条の5第1項
根拠条文を確認します。
第二十四条の五 使用者は、法第三十九条第七項ただし書の規定により同条第一項から第三項までの規定による十労働日以上の有給休暇を与えることとしたときは、当該有給休暇の日数のうち五日については、基準日(同条第七項の基準日をいう。以下この条において同じ。)より前の日であつて、十労働日以上の有給休暇を与えることとした日(以下この条及び第二十四条の七において「第一基準日」という。)から一年以内の期間に、その時季を定めることにより与えなければならない。
労働基準法施行規則
本肢は、「年次有給休暇」に関する問題です。
使用者による時季指定(法39条7項)に関して、法定の基準日(雇入れの日から6か月後)より前に10日以上の年次有給休暇を付与する場合には、使用者は、その日から1年以内に5日の年次有給休暇を取得させなければならない、とされています。
問題文のケースでは「令和6年4月1日入社と同時に10労働日の年次有給休暇を労働者に付与」とされていますので、令和6年4月1日の1年後の令和7年3月31日までに時季を定めることにより与える必要があります。
本肢は○です。
労働基準法 令和6年第6問 D
使用者の時季指定による年5日以上の年次有給休暇の取得について、労働者が半日単位で年次有給休暇を取得した日数分については、労働基準法第39条第8項の「日数」に含まれ、当該日数分について使用者は時季指定を要しないが、労働者が時間単位で取得した分については、労働基準法第39条第8項の「日数」には含まれないとされている。
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働基準法関係の解釈について(平成30年12月28日基発1228第15号)
根拠通達を確認します。
<労働者自ら取得した半日年休・時間単位年休の取扱い>
問11 労働者自らが半日単位又は時間単位で取得した年次有給休暇の日数分については、法第39条第8項が適用されるか。
答11 労働者が半日単位で年次有給休暇を取得した日数分については、0.5日として法第39条第8項の「日数」に含まれ、当該日数分について使用者は時季指定を要しない。なお、労働者が時間単位で年次有給休暇を取得した日数分については、法第39条第8項の「日数」には含まれない。
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の 労働基準法関係の解釈について(平成30年12月28日基発1228第15号)
本肢は、「年次有給休暇」に関する問題です。
5日取得のカウントについて、1日未満の取得単位は以下のように処理します。
・半休(有給休暇の半日取得)…0.5日としてカウント
・時間単位の取得…ノーカウント
本肢は○となり、本問の正解となります。
労働基準法 令和6年第6問 E
産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間及び生理日の就業が著しく困難な女性が同法第68条の規定によって就業しなかった期間は、労働基準法第39条第1項「使用者は、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」の適用においては、これを出勤したものとみなす。
昭和23年7月31日基収2675号
(根拠通達は、原文が見当たりませんでした)
本肢は「年次有給休暇」に関する問題です。
年次有給休暇の「8割以上出勤」の算出については、休んでいたとしても「出勤したものとみなす」休暇・休業があります。
・ 業務上の傷病により療養のために休業した期間
・ 育児休業又は介護休業をした期間
・ 産前産後の女性が法65条の規定によって休業した期間
・ 年次有給休暇を取得した日
この中に、問題文にある「生理休暇」は含まれていません。
出勤みなしの趣旨としては、上記休暇・休業を出勤みなしとしないと、労働者にとって不利な状況となり、取得を控える可能性もあるためです。
本肢は×です。