国民年金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
国民年金法 令和5年第9問 A
老齢基礎年金の繰上げの請求をした場合において、付加年金については繰上げ支給の対象とはならず、65歳から支給されるため、減額されることはない。
法附則第9条の2第6項
根拠条文を確認します。
(老齢基礎年金の支給の繰上げ)
第九条の二
1~3(略)
4 前項の規定により支給する老齢基礎年金の額は、第二十七条の規定にかかわらず、同条に定める額から政令で定める額を減じた額とする。
5(略)
6 第四項の規定は、第三項の規定による老齢基礎年金の受給権者が第八十七条の二の規定による保険料に係る保険料納付済期間を有する場合における付加年金の額について準用する。この場合において、第四項中「第二十七条」とあるのは、「第四十四条」と読み替えるものとする。国民年金法
本肢は、「老齢基礎年金の支給の繰上げ」に関する問題です。
老齢基礎年金の繰上げの請求をした場合は、付加年金についても同時に繰上げ支給され、老齢基礎年金と同じ減額率で減額されます。
付加年金は、本体の老齢基礎年金と一体であるとお考えください。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第9問 B
在職しながら老齢厚生年金を受給している67歳の夫が、厚生年金保険法第43条第2項に規定する在職定時改定による年金額の改定が行われ、厚生年金保険の被保険者期間が初めて240月以上となった場合、夫により生計維持され老齢基礎年金のみを受給していた66歳の妻は、65歳時にさかのぼって振替加算を受給できるようになる。
昭60法附則第14条第2項・第4項
根拠条文を確認します。
(老齢基礎年金の額の加算等)
第十四条
1(略)
2 大正十五年四月二日から昭和四十一年四月一日までの間に生まれた者が六十五歳に達した日以後にその者の配偶者が前項各号のいずれかに該当するに至つた場合において、その当時その者がその者の配偶者によつて生計を維持していたときは、その者に対する老齢基礎年金の額は、附則第十七条並びに国民年金法第二十七条及び第二十八条並びに附則第九条の二、第九条の二の二及び第九条の四の五の規定にかかわらず、これらの規定に定める額に同項に規定する加算額を加算した額とする。ただし、その者が同項ただし書に該当するときは、この限りでない。
3(略)
4 第一項又は第二項の加算を開始すべき事由又は廃止すべき事由が生じた場合における老齢基礎年金の額の改定は、それぞれ当該事由が生じた月の翌月から行う。
本肢は、「老齢基礎年金の額の加算等」に関する問題です。
本問のケースのように、在職定時改定により初めて老齢厚生年金の加給年金額が加算される被保険者期間の要件を満たした場合には、当該事由が生じた月の翌月から振替加算が加算されることとなります。
問題文にあるように「さかのぼる」ことはしませんので、ご注意ください。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第9問 C
年金額の増額を図る目的で、60歳以上65歳未満の間に国民年金に任意加入をする場合、当該期間については、第1号被保険者としての被保険者期間とみなされるため、申請すれば、一定期間保険料の免除を受けることができる。
法附則5条10項
根拠条文を確認します。
(任意加入被保険者)
第五条
10 第一項の規定による被保険者については、第八十八条の二から第九十条の三までの規定を適用しない。
本肢は、「任意加入被保険者」に関する問題です。
任意加入被保険者には免除の適用はありません。
強制加入だから免除があるわけであり、任意加入で免除されたいのであれば、そもそも被保険者にならなければ良いだけの話です。
本肢は×です。
国民年金法 令和5年第9問 D
毎支払期月ごとの年金額の支払において、その額に1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとされている。また、毎年3月から翌年2月までの間において、切り捨てた金額の合計額(1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算して支払うものとされている。
法第18条の2
根拠条文を確認します。
(二月期支払の年金の加算)
第十八条の二 前条第三項の規定による支払額に一円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てるものとする。
2 毎年三月から翌年二月までの間において前項の規定により切り捨てた金額の合計額(一円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てた額)については、これを当該二月の支払期月の年金額に加算するものとする。
本肢は、「二月期支払の年金の加算」に関する問題です。
本肢は上記根拠条文のとおりです。
●1項
毎支払期月ごとの年金額の支払において、その額に1円未満の端数が生じたときは、これを切り捨てる
●2項
毎年3月から翌年2月までの間において、切り捨てた金額の合計額については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算して支払うものとされている。
これを「2月期支払の年金の加算」と言います。
各支払期月で切り捨てられた端数は、そのまま消えてしまうのではなく、2月にまとめて払ってくれる…ということですね。
本肢は○となり、本問の正解となります。
国民年金法 令和5年第9問 E
国民年金基金の加入員は、国民年金保険料の免除規定により、その全部又は一部の額について、保険料を納付することを要しないものとされたときは、該当するに至った日の翌日に加入員の資格を喪失する。
法第127条第3項第3号
根拠条文を確認します。
(加入員)
第百二十七条
3 加入員は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第一号又は第四号に該当するに至つたときは、その日とし、第三号に該当するに至つたときは、当該保険料を納付することを要しないものとされた月の初日とする。)に、加入員の資格を喪失する。
一 被保険者の資格を喪失したとき、又は第二号被保険者若しくは第三号被保険者となつたとき。
二 地域型基金の加入員にあつては、当該基金の地区内に住所を有する者でなくなつたとき、職能型基金の加入員にあつては、当該事業又は業務に従事する者でなくなつたとき。
三 第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により保険料を納付することを要しないものとされたとき及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされたとき。
本肢は「加入員」に関する問題です。
単純な相違問題です。
・問題文…該当するに至った日の翌日に加入員の資格を喪失する。
・正しくは…当該保険料を納付することを要しないものとされた月の初日に資格を喪失する
本肢は×です。