社会保険労務士試験【労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識】<令和4年第9問>

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社会保険制度の保険料及び給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第9問 A

国民健康保険において、都道府県は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村(特別区を含む。)ごとの保険料率の標準的な水準を表す数値を算定するものとされている。

解答の根拠

国民健康保険法第82条の3第1項

根拠条文を確認します。

(標準保険料率)
第八十二条の三 都道府県は、毎年度、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村ごとの保険料率の標準的な水準を表す数値(第三項において「市町村標準保険料率」という。)を算定するものとする。

国民健康保険法

本肢は、「国民健康保険法の標準保険料率」に関する問題です。

条文そのままの問題です。

国民健康保険は市町村単位で運営されていることはご存じだと思いますが、それぞれの市町村の保険料率については、都道府県が標準的な水準を表す数値を算定する…ということのようですね。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第9問 B

船員保険において、被保険者の行方不明の期間に係る報酬が支払われる場合には、その報酬の額の限度において行方不明手当金は支給されない。

解答の根拠

船員保険法第96条

根拠条文を確認します。

(報酬との調整)
第九十六条 被保険者の行方不明の期間に係る報酬が支払われる場合においては、その報酬の額の限度において行方不明手当金を支給しない。

船員保険法

本肢は、「船員保険法の報酬との調整」に関する問題です。

条文そのままの問題です。

船員保険には「行方不明手当金」というものが存在します。

行方不明手当金とは、被保険者が職務上の事由により行方不明となり1ヶ月以上経過したときに、行方不明となった日の翌日から起算して3ヶ月を限度として、被扶養者に対して一定の所得補償を行うための給付であり、船員保険の独自給付です。

全国健康保険協会

これは上記の通り、被保険者が行方不明中の期間に関する、被扶養者に対しての所得補償の位置づけです。

したがって、その間に、被保険者の事業主から報酬が支払われるなどした場合は、所得補償の必要が亡くなりますので、行方不明手当金の支給はされないことになります。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第9問 C

介護保険において、市町村(特別区を含む。以下本問において同じ。)は、要介護被保険者又は居宅要支援被保険者(要支援認定を受けた被保険者のうち居宅において支援を受けるもの)に対し、条例で定めるところにより、市町村特別給付(要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資する保険給付として条例で定めるもの)を行わなければならない。

解答の根拠

介護保険法第62条

根拠条文を確認します。

第六十二条 市町村は、要介護被保険者又は居宅要支援被保険者(以下「要介護被保険者等」という。)に対し、前二節の保険給付のほか、条例で定めるところにより、市町村特別給付を行うことができる。

介護保険法

本肢は、「介護保険法の市町村特別給付」に関する問題です。

本肢は、よくある「~することができる」という任意の規定を、「~しなければならない」という義務の規定にすり替えるパターンの問題です。

過去問などを解いていて、このようなすり替え問題にあたった場合は、特に意識して違いを覚えておくようにしましょう。

ただし、多くの場合が「こんなルールしらない…」ということが多いと思います(特に一般常識では)

私の場合は、「市町村『特別』給付、とあるな…ということは『特別』に行うものなのだから、『しなければいけない』と法律で給付を義務付けるような規定を設けるのはおかしくないか…」と考え、他の肢とも比較しながら、最終的に×をつけると思います。

本肢は×となり、本問の正解となります。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第9問 D

後期高齢者医療制度において、世帯主は、市町村(特別区を含む。)が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によって徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う。

解答の根拠

高齢者医療確保法第108条第2項

根拠条文を確認します。

(普通徴収に係る保険料の納付義務)
第百八条
 世帯主は、市町村が当該世帯に属する被保険者の保険料を普通徴収の方法によつて徴収しようとする場合において、当該保険料を連帯して納付する義務を負う

高齢者の医療の確保に関する法律

本肢は、「高齢者医療確保法の普通徴収に係る保険料の納付義務」に関する問題です。

国民健康保険しかり、高齢者医療確保法しかり、「世帯主」の概念がある制度については、通常の概念の「世帯主」同様、その家族の「代表者」的な立場で制度設計されています。

したがって、本問のとおり「保険料の納付」についても責任を負わせていることとなります。

本肢は○です。

労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 令和4年第9問 E

後期高齢者医療制度において、後期高齢者医療広域連合は、被保険者が、自己の選定する保険医療機関等について評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、当該被保険者に対し、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。ただし、当該被保険者が被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。

解答の根拠

高齢者医療確保法第76条第1項

根拠条文を確認します。

(保険外併用療養費)
第七十六条 後期高齢者医療広域連合は、被保険者が、自己の選定する保険医療機関等について評価療養、患者申出療養又は選定療養を受けたときは、当該被保険者に対し、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。ただし、当該被保険者が被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。

高齢者の医療の確保に関する法律

本肢は「高齢者医療確保法の保険外併用療養費」に関する問題です。

本肢も条文そのままの問題です。

まず「選定療養」とは「追加の費用を負担して受ける保険外の診療」のことを指します。

具体的には「特別病室の提供」や「時間外診療」などです。

また「被保険者資格証明書」というのは、資格取得の手続き中であったり、保険料を滞納しているときに発行される「資格となる可能性はあるんだけども、諸事情により正確な資格を保有している状態ではない」ということを証明する書類です。

したがって、「正式な資格を保有している状態ではない」わけですから、問題文にある「保険外併用療養費」を受給することはできないわけですね、

本肢は○です。

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